ETFの概要
ETFとは
上場している投資信託のことです。名前は「Exchange Traded(上場) Fund(投資信託)」の略で、東京証券取引所には280本(22年末時点)が上場しています。日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)といった指数に連動するよう運用されます。1つのETFを購入すると、指数に組み込まれた株などの資産それぞれに投資するのと同じ効果が得られます。株と同様に売買、費用安くが特徴です。
通常の投資信託との違い
最大の違いは、株式のように取引時間中に価格が動くことです。売買する値段を指定する「指し値注文」や取引の成立を優先する「成り行き注文」が可能です。相場の急落時に購入するといった対応がしやすいといえます。通常の投信は1日に1つ決まる基準価格で購入・換金します。申し込み時点で取引価格はわかりません。
ほかに、ETFは一般に保有銘柄を毎日開示するなど情報の透明性が高いとされます。通常の投信は金融機関で品ぞろえが違いますが、国内ETFは基本的にどの証券会社でもほぼ全て取引できます。販売会社への申し込みではなく市場で取引するため、投資家が運用コストを抑えやすいのも特徴です。
ETF | 通常の投資信託 | |
---|---|---|
取引価格 | リアルタイムで変動する市場価格 |
特定の基準価格(1日1回算出) |
取引時間 | 取引所立会時間(リアルタイム) |
販売会社が決める時間中 |
種類 | 約300 |
約6000(金融機関により異なる) |
販売会社 | 全銘柄全国の証券会社どこでも購入可能 |
特定の取扱証券会社、銀行 |
発注方法 | 成行/指値 |
基準価格がわからない状況で購入・換金 |
購入時のコスト | 証券会社ごとの委託手数料 |
商品・販売会社ごとの料率 |
売却時のコスト | 証券会社ごとの委託手数料 |
商品により信託財産留保額や換金手数料 |
保有中のコスト | 信託報酬は0.1~1%程度 |
信託報酬は1~2%前後が多い |
国内ETFの動向
国内ETFの種類は、国内外の株や債券、不動産、金や原油など幅広くあります。株には日経平均や米S&P500種株価指数といった主要な指数のほか「高配当」「女性活躍」など特定の特徴を持つ企業に投資するものもあります。多くが数千~数万円から購入できます。
運用会社は商品の多角化も進めており、ETFの魅力を高めています。野村アセットは22年9月、米国株と米国債券に投資するバランス型のETFの取り扱いを始めました。S&P500種株価指数に25%、米国債の7~10年物指数に75%を配分します。バランス型は投資信託では一般的ですが、東証に上場するETFでは初になります。「運用担当者の少ない地域金融機関などからひとつの商品で分散投資できるETFを望む声が多かった」(ETF事業戦略部)
積極運用(アクティブ)型と呼ばれる上場投資信託(ETF)が23年9月、東京証券取引所に初めて上場しました。野村アセットが上場した「NEXT FUNDS 日本成長株アクティブ上場投信」の信託報酬は年0.6875%と、年1~2%程度の信託報酬がかかる非上場の日本株アクティブ投信よりも低い。上場したアクティブETFは新NISAにも対応する見込みで、低コストを武器に個人に貯蓄から資産形成を促す起爆剤になると期待されます。今後、債券型など商品性が広がっていくかにも注目が集まります。
商品ラインナップ拡充の一例
上場日 | 銘柄名 | 管理会社 | 特徴 |
---|---|---|---|
2022/09/16 |
野村 |
バランス型ETFの初登場 |
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2023/09/07 |
シンプレクス |
アクティブETFの初登場 |
|
2023/09/07 |
野村 |
アクティブETFの初登場 |
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2023/09/07 |
三菱UFJ |
アクティブETFの初登場 |
|
2023/09/22 |
農中全共連 |
先進国国債ラインナップを拡充 |
海外ETFの動向
08年の金融危機以降、低コストのインデックス運用が広がりました。英調査会社ETFGIによると、世界の上場投資信託(ETF)の運用残高が23年6月末時点で10兆5100億ドル(約1500兆円)と過去最高を更新しました。アクティブETFも過去最高の5830億ドル(約86兆円)、18年から5倍に増え、同期間のETF全体の増加ペース(2倍)を上回りました。
ETFの活用法
ETFでコストを抑えられるため、複数のETFを組み合わせた運用が浸透してきました。投資家自身が資産配分比率を自由に決めることができる銘柄を選んでポートフォリオを組まれるとよいです。特に中長期での資産形成を図る投資家にとっては、ETFを組み合わせることで、個人投資家にも世界一流の機関投資家が導入する洗練された投資戦略に近い運用を目指すことも可能です。
注意点
銘柄によって流動性が低く、取引が成立しにくいことがあります。東証は証券会社や専門業者が継続的に売買注文を出すマーケットメイク制度を始めていますが対象銘柄は7割弱です。ETFは分配金を自動的に再投資する機能がありません。積み立て投資では通常の投信に比べ手間がかかる場合もあります。
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